あまり知られていないかもしれませんが、毎月返済を行う銀行の住宅ローン返済方法は2通りの返済方法があります。
「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」と呼ばれるものです。
住宅ローンは借入残高全体に利息がかかります。
この2通りの返済方法は借入残高の減少するスピード異なりますので総返済額にも違いがでてきます。
具体的に見ていきましょう。
元利均等返済方式
毎月の返済額(元金と利息の合計)が同じ金額になるように返済する方法です。
毎月の返済額が同じなので返済計画が立てやすいことから住宅ローン利用者の大半はこの返済方式ではないでしょうか。
しかし、ここにカラクリがあるのです。
毎月の返済額は同じです。
毎月の返済額の内訳が重要なんです。
毎月の返済額は元金+利息で構成されます。
返済当初は元金が大きいので利息も大きいのです。
ですから返済当初は、毎月の返済額のうち利息の部分大きく元金の減るペースが遅いんです。
極端な話、住宅ローンの返済当初はほとんど利息を払っているようなもんです。
「毎月住宅ローンを返済しているのに、ローンがちっとも減らない」なんて話を聞いたことはありませんか。
まさにこれが元利均等返済方式の落とし穴なんです。
元金均等返済方式
借入元金を返済回数で割った額に、残高に対する利息を上乗せして返済する方法です。
わかりやすく言えば、毎月決まった返済元金に利息を上乗せした額を返済します。
この方式ですと毎月一定額の元金を返済していくので、元利均等返済方式に比べてローン残高が確実に減りトータルで支払う利息が少なくなります。
しかし、こちらにも落とし穴があります。
借入残高の減少するスピードは早いんですが、返済当初の返済額が大きくなり返済負担が重いんです。
毎月の返済額は毎月決まった返済元金+利息で構成されます。
毎月決まった返済元金は変わりませんが、返済当初は元金が大きいので利息部分が大きいのです。
返済するに従って毎月の返済額は減っていきます。
しかし、返済当初の負担が大きくなってしまうのがネックです。
返済当初って年齢も若いわけですから、そこで返済負担が大きいのってキツイですよね。
では具体的な数字で両者を比較してみましょう。
1,000万円の住宅ローンを35年で返済するとします。
ボーナス払いなし、固定金利とし金利を2%でシミュレーションした返済額は以下の通りです。
毎月返済額 | 年間返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|---|
元利均等返済方式の場合 | 33,126円 | 397,512円 | 13,912,920円 |
元金均等返済方式の場合 | 40,476円(初回) | 483,095円(初年度) | 13,508,281円 |
元金均等返済方式の場合は総返済額が400,000円ほど少なくなりますが、初回の返済額は約7,000円、初年度の返済額は約86,000円高くなります。
総返済額は高くなってしまいますが、返済当初の負担が軽いことと返済計画の立てやすさから元金均等返済方式を選ぶ方が多いのでしょうね。
ボーナス併用返済という方法もある
「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の返済区分とは違いますが、ボーナス時に返済額を増額する方法があります。
このボーナス併用返済は「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」のどちらにも適用することができます。
ボーナス併用返済とは毎月の返済に加えて、ボーナス支給月に割増しをして返済するものです。
ボーナス月に返済額を増やせる分、毎月の返済額を減らすことができます。
ボーナス返済に回せる額は住宅ローンで決まっています。
公的融資では借入額の40%以内、民間のローンでは50%以内が多いようです。
毎月の返済額が軽減されるので利用される方は少なくありません。
しかし、私が銀行員時代は過度なボーナス併用返済はお勧めしませんでした。
ボーナスが当たり前に出ると思い込んでいる方が多いのです。
ボーナスは景気や企業の業績に左右されるため、過度にボーナス返済に依存しすぎるとどうしてもリスクが高くなります。
公務員や大企業の社員でしたらいいのかもしれませんが、ボーナスが安定的でない業種や企業などではボーナス併用返済を組まないほうが無難です。
実際、ボーナス時の返済で苦しまれている方がたくさんいらっしゃいました。
ですから、ボーナス併用返済を利用する場合はは余裕を持って設定することが肝要です。
多くの方は返済完了が定年以降の設定だと思います。
その場合は、定年時に退職金でボーナス併用返済部分を繰上げ返済するなどの工夫が必要です。
なお、住宅ローンの詳細については「金利で得する住宅ローン.com」というサイトを公開していますので、こちらもよかったらのぞいて見て下さい。