家を建てる前の地鎮祭

家を建てる際、地鎮祭は全国的に行われている儀式だと思います。

私も地鎮祭をやっているところを何度か見たことがあります。

さて、自分が家を建てるとなると地鎮祭をやった方がいいのかすらよくわかりません。

おはずかしながら、私自身が信心のあまりない人間でして・・・

設計事務所の社長に相談すると地鎮祭をやらないなどもってのほかと言った口ぶりです。

たしかにせっかくの家づくり、何かあっても嫌だしここは社長の言うとおりにしようと地鎮祭をやることに決めました。

しかし、服装はどんな格好で参加するのか、費用はいくらかかるのか、どんな挨拶をすればいいのか、玉串料はいくらが妥当なの、前もって何を準備すればいいのかかすべてがチンプンカンプンでした。

 

 

地鎮祭とは(Wikipediaより引用)

地鎮祭(じちんさい、とこしずめのまつり)とは、土木工事や建築などで工事を始める前に行う。

その土地の神(氏神)を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る。

これには神式と仏式がある。

一般には神を祀って工事の無事を祈る儀式と認識されており、安全祈願祭と呼ばれることもある。

鎮地祭、土祭り、地祭り、地祝いとも言う。

費用は施工業者(奉献酒や玉串料は施主を含めた関係者)が負担する。

一般的には、土地の四隅に青竹を立て、その間を注連縄で囲って祭場となし、斎主たる神職のもと、建設業者・設計者・施主らの参列の上で執り行う。

場合によっては、赤白の横断幕を張ったテントの中で行われる事もある。

祭場の中には木の台(八脚台という)を並べ、その中央に神籬(ひもろぎ、大榊に御幣・木綿を付けた物で、これに神を呼ぶ)を立てて祭壇(南向きまたは東向き)となし、酒・水・米・塩・野菜・魚等の供え物を供える。

また、関西などの特定の地方によっては伊勢神宮近隣の浜から砂または塩を取り寄せ、四隅に置く場合もある。祭壇の左右に、緑・黄・赤・白・青の五色絹の幟に榊をつけた「真榊」を立てる場合もある。

この五色絹は五行説における天地万物を組成している5つの要素、つまり木・火・土・金・水を表している。

日本以外では韓国や台湾でも地鎮祭に似たお祓いをすることがある。

 

地鎮祭は神式だと思い込んでいましたが、仏式もあるんですね。

設計事務所からはお願いしたい神社があればそこに依頼してもいいし、なければこちらで手配すると言われました。

どうしようかと考えていると、会社の後輩に神社の息子で本人も神主の資格を持っている人間がいるのを思い出しました。

さっそく電話すると「先輩の家の地鎮祭をやるなんて、私にはとても務まりません」とあっさり断られ、結局設計事務所にお願いすることになりました。

来て頂いた神社様は地元ではかなり有名なところで、土木建築の神をお祀りしておられるとのことでした。

我が家の地鎮祭は平成24年11月18日に決定しました。

 

正直地鎮祭のことなどさっぱりわかりません。

すると、設計事務所が地鎮祭についての簡単なマニュアルのようなものくれました。

とにかく、それに従って粛々と進めていくだけです。

 

地鎮祭の事前準備

地鎮祭に必要なものを前もって準備します。

設計事務所で揃えても構わないとのことでしたが、せっかくなので地鎮祭の前日に自分たちで準備しました。

準備したのは以下のものです。

・酒 一升

・米 一升

・塩 1kg

・魚 尾頭付き これは鯛を用意しました

・海産物 昆布といりこ

・果物 2種類 これはリンゴとバナナを用意しました

・野菜 3種類 これは大根と人参とキューリを用意しました

果物と野菜は何でもよいとのことでした。

魚も尾頭付きなら何でもよいとのことでしたが、勝手なイメージで鯛を用意しました。

すべて同じスーパーで揃えることができ、明日の本番に備えます。

 

地鎮祭の玉串料

神社様にお渡しする玉串料は設計事務所から2万円でよいと聞いていたのでその通りにしました。

安いのか高いのか相場はよくわかりません。

地域や建物の規模によっても違うのでしょうね。

封筒には玉串料または御神前と記入します。

 

地鎮祭の服装

こちらも設計事務所に尋ねましたが、派手な服装や乱れた服装でなければ問題はなく、小ざっぱりとした普段着のような服装で構わないとのことでした。

しかし、私は施主ですのでさすがにスーツは着ませんでしたが、襟のついたジャケットを着用しました。

家内は白を基調とした平服で参加です。

母と弟は全くの普段着で参加しました。

 

地鎮祭当日

地鎮祭は10時からです。

私達も早めに8時ころに行きましたが、設計事務所のスタッフさんがすでにたくさん来て準備を始めています。

数日前に地縄張りが行われていました。

 

地縄張りとは

工事着工の最初の作業で、建築予定地に縄を張って、設計図どおりに建物の配置を決めていく作業のことです。

木造建築に独自の過程で、建物の外周と、内部のおもな部屋予定スペースの中心線上に縄やビニールひもを張り、建物の位置を地面に表します。

この地縄張りが終わった後に地鎮祭が行われます。

 

地縄を見るとまさに1階の断面図でリビングやキッチン、バス、トイレなどの位置がわかります。

多分私だけではないと思いますが、この地縄を見て「狭っ」という感想を持つと思います。

立体の家になると違いますが、平面の地縄だけを見るとその面積がすごく狭く感じます。

こんなに狭いのかとテンションが下がりますがご心配なく。

地縄で見ると狭く感じるスペースも実際建物になるとそんなこと全然ありませんから。

 

ちょっと見にくいかもしれませんが地面に張られているのが地縄です

 

話を本題に戻します。

私が現場に到着した時には10人以上のスタッフがトラック3台で来ていました。

テントを張ったり、紅白の幕を掛けたりと大忙しです。

結構大掛かりで正直ビックリします。

しかし設計事務所のスタッフは手慣れたもの、しょっちゅうやってらっしゃるからでしょうね。

前日準備したお供え物をスタッフに渡し、準備の邪魔にならないよう角の方で様子を見ていました。

しばらくすると玉串奉奠(たまぐしほうてん)のレクチャーが始まります。

施主側の参加者は残念ながら直前に父が入院したので、私たち夫婦と母と弟の4人です。

4人全員が玉串奉奠を行いますので間違いの無いよう真剣にレクチャーを受けます。

お恥ずかしながら私たち家族4人、まともに玉串奉奠のやり方を知っている人間はいませんでした。

ご参考までに玉串奉奠について簡単に記載します。

 

玉串奉奠(たまぐしほうてん)

玉串とは榊の小枝に紙垂(しで)をつけたものです。

玉串奉奠とは、玉串に自分の心をのせ、神にささげるという意味がこめられています。

玉串のささげ方

・神職の前に並んで順番を待ちます。(順番は施主の私、家内、母、弟の順に並びました)

・自分の番がきたら、神職および他の参加者に一礼してから、玉串を両手で受け取ります。

・このとき玉串は右が枝元、左に葉がくるように渡されますから、右手の親指を下にし、左手で支えるように受けます。

・受け取った玉串の先を時計回りに90度回して立てます。

・左手を下げて根元を持ちます。

・玉串をさらに時計回りに回し、根元を神前に向けます。

・やや進んで、玉串を案(机)の上に置きます。

・やや下がり、二拝二拍手一拝の作法でお参りします。

・向きを変えて神職および他の参加者に一礼し、自席にもどります。

 

文章だと分かりにくいので申し訳ありません。

玉串のささげ方については神社のホームページやYouTubeの動画にアップされていますので、詳細はそちらをご覧ください。

また建築会社の方なら皆さん良くご存知なので5分もレクチャーを受ければ、すぐ習得できますのでご安心を。

 

私たち家族4人、玉串のささげ方はマスターしました。

予定時刻の15分前に神主さん到着です。

予定時刻まで神主さんとしばし談笑、気さくな感じのいい神主さんです。

予定時刻の10時、地鎮祭が始まります。

設計事務所の常務が式次第を取り仕切ります。

 

地鎮祭の式次第

1.修祓(しゅばつ) 斎場、祭器具、参列者に対するおはらい

2.降神(こうしん) 神霊をお迎えする

3.献饌(けんせん) 神酒徳利と水器のふたを取る

4.祝詞奏上(のりとそうじょう) 神主が祝詞を奏上

5.四方祓(しほうばつ) 建設場所に対するお祓い

6.鍬入(くわいれ) 施主と建築会社の代表が盛砂に鍬、スコップを入れる

7.玉串奉奠(たまぐしほうてん) 参列者が神前に玉串をささげて礼拝する

8.撤饌(てっせん) 神酒徳利と水器のふたを元に戻す

9.昇神(しょうしん) 神霊を点にお送りする

 

以上、時間にして約1時間。

神主さんに玉串料をお渡しし、お見送りして地鎮祭は無事終了です。

なんだか思った以上に大掛かりなセレモニーでしたが、終わってみればなんだか清々しく感じます。

やってよかったなと思いました。

設計事務所のスタッフの皆さんご苦労様でしたと心から感謝です。

 

以下は地鎮祭のスナップ写真です

土地の上に設けられた祭壇です

 

目隠ししてますが最前列が私たち家族で、後列が設計事務所の方々です

 

塩でお清めされます

 

鍬入(くわいれ)です

 

玉串奉奠(たまぐしほうてん)です

 

地鎮祭が終わり神主さんから2つの品を頂きました。

ひとつは鎮物(しずめもの)というものです

鎮物とは土地の神をしずめるために地中に埋めるもので、基礎の工事を行う前に業者さんに埋めてもらいました。

もう一つは木のお札です。

大工さんが屋根裏に供えてくれたそうです。

信心の薄い私が言うのもなんですが、天と地から神様に見守られているようでなんだか嬉しいです。

 

昨今、地鎮祭を行わない方も増えているそうですが、私はやってよかったと思いました。

地鎮祭の様子を設計事務所のスタッフさんがたくさん写真に収めてくれました。

地鎮祭後、入院中の父にその写真を持って行ったところ、父は大変喜んでくれました。

あらためて地鎮祭をやって良かったと思う瞬間でした。

 

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