前のページで説明した①自己資金、②親や祖父母からの援助、③借入金(住宅ローン)の合計で大まかな家を建てる予算が見えたら、家づくりがグッと具体的になってきます。
大まかな家を建てる予算をふまえて家づくりを考える場合2つのパターンが考えられます。
1.家を建てる予算の範囲内でできる家づくりを行う。(希望する家づくりにかかる費用に家を建てる予算が足りた)
2.希望する家づくりにかかる費用に家を建てる予算が足りない。
1のケースでしたらまず問題なく家づくりに進めます。
問題は2のケースです。
家を建てる予算は①自己資金、②親や祖父母からの援助、③借入金(住宅ローン)の合計です。
現状における①自己資金、②親や祖父母からの援助は変わりません。
家を建てる予算的に変動できる要因は③借入金(住宅ローン)です。
前のページのシミュレーションは返済の安心ライン「年間返済額が年収に占める割合25%」で計算しています。
「借入できる金額」と「返済できる金額」でいえば「返済できる金額」で考えています。
実際金融機関から「借入できる金額」はそれより多い金額です。
若い方でしたらこれから収入も増えるでしょうし、奥様が働いていらっしゃるご家族であればさらに余裕があるでしょう。
ですから、希望する家づくりにかかる費用に予算が少し足りない状況でしたら、ご家族の状況をよく考えて③借入金(住宅ローン)部分を増やすこともありです。
例えば希望する家づくりにかかる費用に予算が200~300万円不足する程度でしたら住宅ローン部分の増額を検討しても構わないと思います。
問題は希望する家づくりにかかる費用と予算が大きく乖離している場合です。
例えば希望する家づくりにかかる費用に予算が1,000万円不足するようなケースではどうでしょうか?
その分を住宅ローンの増額で賄うとすると、年収500万円のケースでしたら年間返済額が年収に占める割合は35%近くに達してしまいます。
金融機関によっては対応してくれるところがあると思います。
この金額はまさに「借入できる金額」なのです。
金融機関は住宅ローンを融資する際、土地・建物を担保に取ります。
もし借主が住宅ローンを返済できなくなれば、担保である土地・建物を処分して住宅ローンを回収します。
すなわち、「土地・建物を処分して回収できる金額」=「金融機関が貸せる金額」=「借入できる金額」なのです。
私は銀行員時代、返済が困難になり泣く泣く住宅を手放さざるをえないお客様を少なからず見てきました。
特殊なケースもありましたが、多くは「無理な資金計画」≒「過大な住宅ローン」で返済ができなくなったケースでした。
ですから私は「借入できる金額」ではなく「返済できる金額」で住宅ローンを組んで頂きたいと強く思います。
話を戻して、希望する家づくりにかかる費用と予算が大きく乖離している場合はどうしたらいいかについて考えます。
結論としては次の2つになると思います。
1.家づくりにかかる費用を予算内に抑える
早急に家が必要な場合は家づくりにかかる費用を削減して下さい。
理想を言えばきりがありません。
希望する家づくりの「希望」のどこかを削って予算に近づける工夫をしてください。
2.予算に必要な自己資金(貯蓄)ができるまで時を待つ
すぐすぐに家が必要でない場合は自己資金(貯蓄)を蓄積しましょう。
予算は①自己資金、②親や祖父母からの援助、③借入金(住宅ローン)の合計です。
③借入金(住宅ローン)は無理のない借り入れが大切であることは再三申し上げてきました。
とすれば予算を希望する家づくりにかかる費用に近づけるためには①自己資金の増額しか道はありません。
希望する家づくりにかかる費用がある程度わかっていれば、あとどの位①自己資金が必要か見えてきます。
そうすると例えば5年後を目標とするなら年間いくらの貯蓄が必要であるか、あるいは年間100万円貯蓄するのなら何年後に家づくりができるかといった目標が明確になります。
せっかくの家づくり、理想とする家づくりをしたいですよね。
急ぐ必要がなければ予算に必要な自己資金(貯蓄)ができるまで時を待つことをお勧めします。
目標が明確になれば家族で共有し、家づくりに向けた絆が深まります。
またその間、家づくりに向けた勉強や準備の時間を充分にとることができます。
くどいようですが、家を建てる予算を考える場合、過大な借入金(住宅ローン)の設定だけはやめてください。
はっきり言って家を建てる予算は住宅ローン次第でどうにでもなります。
不動産業者や建築業者も商売、少しでも高い物件を勧めたいはずです。
金融機関も同じく商売、少しでも多く貸したいのです。
家族の豊かで幸せな暮らしのための家づくり。
それが返済に苦しんだり、挙句の果てに家を手放したりしては元も子もないのですから。
なお、住宅ローンの詳細については「金利で得する住宅ローン.com」というサイトを公開していますので、こちらもよかったらのぞいて見て下さい。