平成24年1月から始めた注文住宅のハウスメーカー、工務店探しはすでに5カ月になろうとしていました。
休日のほとんどをハウスメーカー、工務店訪問に費やし、数多くのモデルハウスや物件を見てきました。
自分なりによく勉強した甲斐もあり、家についての知識も随分深まりました。
気になるハウスメーカー、工務店も絞られ、そろそろ最終的に家を建てる業者を決めなければなりません。
自分の中では全国的なハウスメーカー2社、地元ハウスメーカー2社、設計事務所2社の6社が候補になっていました。
その中から自分の希望、それを叶える間取り、建築費などを総合的に勘案し業者をさらに絞り込んでいきました。
私が家づくりに当初から求めていたものは次の3つでした。
・とにかく日当たりのいい家にしたい
・広いリビングが欲しい
・義父との同居を考え1階に独立した部屋が欲しい
「日当たりのいい家」、「広いリビング」についてはどのハウスメーカー、工務店も実現可能でした。
問題は「広いリビング」と「1階に独立した部屋」の同時実現でした。
私の土地は北東の角地で地形は50坪のほぼ正方形です。
ちなみに用途地域は第1種低層住居専用地域で角地緩和があって建ぺい率が50%、容積率が80%です。
そう広くない敷地に「広いリビング」と「1階に独立した部屋」を同時実現するためには単純に四角形の家では実現できず、デコボコのある家にしないと難しいのです。
ハウスメーカー、工務店の話でわかったことですが、単純に四角形の家であれば建築コストは抑えられるのですが、「1階に独立した部屋」を飛び出して建築すると建築コストが高くなってしまうのです。
全国的なハウスメーカー2社と地元ハウスメーカーの1社は、その部分で大きくコストが嵩んでしまうことがわかりました。
もう1社の地元ハウスメーカーはその部分で大きくコストは上がらないことがわかりました。
そして設計事務所2社はもともとが「1階に独立した部屋」を飛び出して建築する設計で、それによってコストが増加していないことが確認できました。
このプロセスで地元ハウスメーカー1社と設計事務所2社の3社に絞られました。
正直ここからは相性的な部分が強くなってきます。
地元ハウスメーカーはインターネットの情報でも比較的評判のいい業者でした。
ところが、営業担当者とどうも合わないのです。
この営業担当者、若い割には知識も豊富で話しも上手です。
上手く説明することは難しいのですが、私の中の何かが引っかかっていました。
今後、彼と家づくりを進めても楽しくなさそうな予感がしたんです。
相性といってしまえばそれまでですが、ここはやめることにしました。
ということで最終的に候補は設計事務所2社になりました。
1月からハウスメーカー、工務店を探し始めもう6月になっていました。
最初は設計事務所なんて頭にもありませんでした。
しかし、こうして長い時間をかけたどり着いたのが設計事務所だったのです。
設計やプランについては両方とも甲乙つけがたいものがあります。
この設計事務所2社は並行して話を進めており、金額的な見積もりも出してもらっていました。
設計事務所で家を建てるというとピンとこないかもしれません。
仕組みはこうです。
設計事務所が書いた設計に基づき、その関連の大工や基礎工事業者、水道業者、電気業者など諸々の協力業者が家を造り設計事務所が現場監督を行うのです。
テレビ番組の「劇的・ビフォーアフター」の匠の役割が設計事務所なのです。
設計事務所に家を建ててもらうと高そうな感じですが、そんなことはありませんでした。
話を戻します。
最終候補は「インターネットやクチコミで注文住宅のハウスメーカー、工務店を探す」のページに出てきたH設計室とKという設計事務所2社になりました。
本当に甲乙つけがたい2社です。
金額的にもそう大差はありません。
両社ともプランは煮詰まってきており後はどちらかに決めるだけです。
ここで私が決断するきっかけがありました。
Kで打ち合わせをしていた時のことでした。
Kは設計図に植栽まで入っており、家のシンボルツリーはライトアップの照明付きといったものでした。
もちろんいずれ樹木は植えるつもりでしたが、別にライトアップまではいらないと思いその旨を伝えました。
すると、「ライトアップした方が絶対カッコいい」となかなか納得してくれません。
ウッドデッキも魅力的でしたが、設置すると庭が狭くなってしまいこちらも不要だと伝えました。
すると「ウッドデッキがあった方が絶対カッコいい」とこちらも納得してくれません。
この設計事務所Kはとにかくカッコよさにこだわるのです。
当初から一級建築士のWさんとコーディネーターのKさん2人と話をしていましたが、2人の口癖はこうすればカッコいいでした。
確かにおっしゃることはよくわかりますしカッコいいと思います。
設計プランも最終段階にきて、施主の要望よりも設計事務所の価値観が前面に出る感じになっていました。
口に出してはおっしゃいませんが「家のことは素人は口出しせず、自分たちプロに任せておけ」といった感じです。
打合せを終え帰りの車中家内に向かって「H設計室に決めようか」と言いました。
家内も同じ意見でした。
H設計室とも同じように打ち合わせを進めていました。
その中でプロとしてのアドバイスはありましたが、施主の希望を第一に考え、自分たちの価値観を表に出されることはありませんでした。
Kも素晴らしい設計事務所だったと思います。
ただ、施主である私たちの希望を真摯に受け止めてくれるという点においてH設計室が格段に優れていたのです。
元旦から始まったハウスメーカー、工務店探しは半年かかってやっと決着しました。
7月の初め、H設計室に我が家の建築を正式に依頼しました。
H設計室にたどり着くまでに約半年という長い時間と膨大なプロセスを経たわけですが、今思えばこれこそが家づくりを成功に導いてくれた最大の要因であったと思います。
これからはH設計室と二人三脚で家づくりを進めていくことになります。