資金計画のページでも述べましたが家づくりの予算のうち自己資金と親や祖父母からの援助は基本的にコスト(金利)のかからないお金です。
自己資金と親や祖父母からの援助で不足する分を銀行の住宅ローンに頼るわけです。
銀行の住宅ローンはコスト(金利)のかかるお金です。
金利ってわかっているようで実は理解していない方が多いと思います。
次のように考えてみてください。
住宅ローン=お金です。
銀行から住宅ローン1,000万円を借り入れるとします。
1,000万円をお金と考えず1,000万円という物(商品)として考えてください。
わかりやすいように1,000万円という物(商品)をAという商品としましょう。
1,000万円の商品Aを買う場合、みなさんはどうしますか?
値段が同じなら近くて便利なお店で買うでしょう。
でも1,000万円という高い買い物です。
その場合はあちこち探して少しでも安いところを探すのではないですか。
住宅ローンという商品の場合、その値段が高いか安いかを決めるのは金利です。
具体的に見てみましょう。
1,000万円の住宅ローンを35年で返済するとします。
返済方式は元利均等、ボーナス払いなし、固定金利とし金利を2%と3%の2通りでシミュレーションした返済額は以下の通りです。
毎月返済額 | 年間返済額 | 総返済額 | |
---|---|---|---|
金利2%の場合 | 33,126円 | 397,512円 | 13,912,920円 |
金利3%の場合 | 38,485円 | 461,820円 | 16,163,700円 |
1%の金利の違いで毎月約5,000円、年間で約64,000円、総返済額で見れば約2,250,000円も差が出るのです。
結構大きいと思いませんか。
当たり前のことですが、住宅ローンという商品を選ぶ際、金利の低い商品を選ぶことが賢い選択のポイントになります。
それではもう少し掘り下げて説明します。
金利は借りる人で変わる
金利はどのように決まるのでしょうか。
ベースとなる金利はその時々の経済状況によって変わります。
景気が良ければ金利は高くなりますし、景気が悪ければ金利は低くなります。
日本はバブル崩壊後長い間デフレに苦しみました。
景気が過熱していたバブル時は金利も高かったのですが、バブルがはじけ土地や株といった資産価格が下がり続け、物価が下がるデフレに陥り、金利は低下の一途を辿ってきました。
私がこれを書いている今も歴史的低金利水準にあります。(2015年7月現在)
つまり、今現在ベースとなる世の中の金利はとても低い状況にあります。
これは住宅ローンを借りる人には有利な状況です。
しかし、住宅ローンを借りる人が皆同じように低い金利で借りられるかと言えば少し話が違います。
住宅ローンは借りる人によって金利が変わるのです。
銀行などの金融機関は借主の返済能力によって金利を変えます。
金融機関ではこの返済能力を「信用」と呼び、この信用が高ければ金利が低く、信用が低くなるに従って金利が高くなります。
では金融機関はこの信用をどのように判断しているのでしょうか。
金融機関によって基準は様々だと思いますが、私が勤務していた銀行では勤務先が大きな要素となっていました。
公務員と東証1部上場企業、地場有力企業が勤務先であれば最優遇金利が適用されました。
その他の勤務先や自営業であれば、収入や資産状況、住宅ローンの返済比率等に応じて金利が適用されます。
そのほか信用が低いと判断されれば、高い金利に加えて保証会社の保証を求められるケースもあります。(保証会社の保証とは借主が住宅ローンを返済できなかった場合、保証会社が銀行に返済を行う制度で金融機関にとっては保険のような意味合いがあり、保証料は借主が負担します)
つまり、借主の信用が低いと判断されれば金利が高くなるうえに、別途保証料までかかってしまうのです。
信用の判断基準が勤務先というのもおかしな話ですが、公務員や大企業の社員であれば倒産リスクも少なく、給与面も安定していると考えているんでしょうね。
ただ、公務員や大企業の社員であっても過去にクレジットカードの延滞などがあれば話は別ですよ。(信用が低いとみなされます)
金利は金融機関で変わる
住宅ローンのベースとなる金利は上述したようにその時々の経済状況で決まりますので、そのベース金利は金融機関によって大差はありません。
しかし、金融機関によって住宅ローンの金利は違うのです。
ネット銀行は店舗のある一般の金融機関に比べ住宅ローンの金利は低く設定されています。
なぜなら、店舗を持たない分コストが安く抑えられているからです。
住宅ローンの金利が低いことは大きな魅力ですが、デメリットもあります。
ネット銀行ですからすべての手続きがネットと郵便での手続きになるために手間と時間がかかります。
特に土地・建物の担保設定などは面倒かもしれません。
住宅ローン借入時や借入後の様々な相談は対面式である一般の金融機関の方が何かと便利です。
また、ネット銀行は書面のみの審査ですからリスクを避けるために審査が厳しくなっているところが多く、特に自営業者の方には審査が厳しいかもしれません。
以上をふまえると、比較的安定した勤務先で資金支払い時まで時間的余裕がある方でしたら金利の低いネット銀行の住宅ローンはお勧めです。
店舗のある一般の金融機関でもそれぞれ金利は異なります。
店舗のある一般の金融機関と一口で言っても、都市銀行、信託銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、JAバングなど様々な形態があります。
金利にビックリするような差はないと思いますが、少なからず差はあります。
金融機関の規模が小さくなれば、多少審査が緩やかな分金利も高めではないでしょうか。
金利は金利の種類で変わる
住宅ローンは大きく分けて固定金利と変動金利に分かれます。
さらに固定金利は全期間固定金利型と固定金利期間選択型に分かれます。
固定金利型は金利が変わらず、変動金利型は借り入れ後の金利情勢にあわせて金利の変更が行われるのもです。
借入時の金利は変動金利型の方が低く設定されています。
金利の種類について次のページで詳しく説明します。
なお、住宅ローンの詳細については「金利で得する住宅ローン.com」というサイトを公開していますので、こちらもよかったらのぞいて見て下さい。